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秋の陽の釣瓶落とし

Posted by 彩子 on 05.2013 日々色々 0 comments 0 trackback
姑は結婚以来、長いこと頑固舅に仕えて
自分の事は後回しにしてきた、のだろう多分。
結果この5月に脳梗塞で倒れて入院したままだ。

打たれ強いと言わんばかりの姑らしく、
泣きながら辛いリハビリにも耐え、
経鼻栄養だった姑は、その後胃ろうになるどころか
とろみを付けた物だが、口から食べられるようになった。
左半身の麻痺のリハビリも、
あの調子だと車椅子に乗れるまで回復するかもしれない。

だけど、入院したが為にか後遺症でか、
きっとその両方で、
ご多分に漏れず痴呆の症状が出始めた。



舅は己が原因で姑が倒れたようなものなのに
世話する人が居なくなったもんで
透析の病院に入院させてるのが理解出来てないアルツハイマー型認知症だ。


夫のお姉さんは、
私が自分の親に必死な様に、
遠方から仕事を休んで、なにやかやと面倒を見に帰っておられる。

所詮、私にとっては
夫側の親に対して、冷静な振る舞いになってしまう。



私の母には、夫側の現状を伝え、
だからお母さんは幸せなのよと言ったところで
お嬢さま育ちの母は母で、分かってるようでわかっていない。

母のお茶のお弟子さんとなってくれた私の友人は、
娘と思ってください、と母に手伝いを申し出てくれてるけれど、
人に頼むことをようしない母にとっては、
お弟子さんはお弟子さんなのだ。

平常時に戻られたら、
生徒さんがたくさん来て、ハツラツと以前の先生の生活が出来ますよ、きっと

こう言ってくれるが、
やはり年相応に老いてきたと痛感することばかりだ。


自宅を売却してのシニアマンションと
お茶のお稽古用のマンションへとの二箇所への引越し、
突然逝ってしまった弟の不在に
80にならんとしている人にとって、
大層な出来事が続いている。

それでも自分で決めた人生、最後の終の棲家。
母は落ち着いてしまった時腑抜けになってしまわぬか、と
これも又要らん心配、気掛かりなこと・・。
どうにも心配性なのは、
悲しいかな、立派な母譲りな質かな。

いやいや、
母の家に対する情緒的な思い入れは計り知れないが、
頭のしっかりしているうちに、
自分の棲家を選択できる、決定出来ることは幸せなのだとも思う。



尊厳死協会に登録していた叔父は、
胃癌が見つかって三ヶ月も持たずに逝った。
一切の治療をせず、ただ痛みを取るだけを希望して
緩和ケア病棟のある病院に転院した日に亡くなった。
あっという間だった。
だけど、ある意味、
自分の逝きたい様に逝ったのだろう。

叔父は、歳の離れた母を親代わりにし、嫁さん以上に頼りにした。
今度は姉ちゃんを支えちゃるけん、と
晩年は、毎日母のもとへ、朝の珈琲を飲みに来てくれた。
遠く離れる私にとっては、
安否確認をしてくれている様で頼りにしていた。

これからの生き方を決断した母の世話を一気に引き受け、
家土地の売却、終の棲家探しと
何故にそう急ぐと私と母は不信に思ったが、
自分の体の変調を叔父は分かっていたのか、
母の新しいマンション契約の日が
胃全摘手術のための入院と重なっても、
重要事項説明を半分受けたところで、あとは、彩子頼むと言った。
今思えば、あの時はすでに、癌に冒されていたのだ。



投げ出さずきっちりやってくれた、と母は泣いた。
70の早すぎる死を悼む盛大な葬儀には
世話好きな叔父を忍ばせる弔辞が並んだ。


孫と一緒に旅行ができると、
もう随分前から計画していた娘の家族と一緒のスイス旅行は、
胃の全摘をした数週間後のことで、
止めさせてと泣いて頼まれた母の言葉を私は伝え、
不用意な言葉にならぬよう、自分なりに気に留めて、
叔父と姪にもう一度考えてみてと私は電話をした。


もう彩子、口出しせんでくれんね、これは娘の家とうちの問題やけん・・

娘夫婦は医者でもあるが、
点滴の輸液まで用意して、
現地での日本語のわかる医者まで探して
準備してくれとるっちゃけん、と叔父は言った。
私は言葉につまった。


結果、叔父は行かなかったし、実際行ける状態でもなかったのだけれど、
死期をわかっていたのかもしれない叔父の楽しみ、希望を奪ってしまったかもしれない。
こんなに早く逝ってしまった後となっては・。

悪者になってもいい、と思いながらも母の気持ちを伝えたが、
私も絶対無理だと思いながら、
でも、果たして本当に良かったのか、
要らぬお節介だったのではないか、と
どうしたら良かったのか、
今でもわからない。





怒涛のような九月が過ぎた。

ひと月で二つの葬儀に出た。

肉親の死の寂しさは不意に襲ってくる。

それでも時間は誰のもとにも平等に過ぎていく。



秋の陽の釣瓶落とし。

ちょいと物想いに耽ってますよ。







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